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「やめろ!」ついに所長が叫んだ。「何をいっているんだ! わしを批判する気か。君にそんな資格があるのか。自分をよく見ろ。君とて今からわしの芸術に浸る運命にあるのだろうが。君から望んで住人になることにしたのだろうが。なのに、なぜそんな言い方をする。それはすなわち君自信を否定したのも同じことなのだぞ。わかっているのか」
「ええ。わかっているつもりです」私は微笑んだ。「わかっているからこそ、自らここへ……。さあ、早く音楽を流してください。あなたの作品を私の中へ」
「……ふん。まあ、いいだろう。そんな大口を叩けるのも、あと僅かだからな。どのみち、ここの本当の役割を知らずに住人になってしまうんだ。聞き流してやるよ」
「本当の役割?」私は訝しんだ。「いったい、なんのことを」
所長が勝ち誇ったように笑った。「いいだろう。君の意思表示ができなくなる前に教えてやろう。子供の玩具ロボットの研究なんてきれいごとなんだよ」
「きれいごと?」
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