第1章

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 そんなことはやめて、とあたしはため息をつく。さっくり消えたほうが、絶対に楽なのに。  そうでしょう、お母さん?  米粒が胡麻になった。ゴミと間違えるような大きさ。思わず吹き飛ばしそう。今なおお母さんであろうそれは、ブルンと軽く震えると、音もなく消えた。  あたしはやっと安心して、首を元に戻した。そろそろ首が痛くなってきていたので、いいタイミングだ。ベッドに仰向けのまま、両手両足をヒトデのように伸ばす。そして、吸い込まれそうな真っ黒い空を見る。おへそのあたりがスウスウして落ち着かない。なんか体がとってもだるい。こんな開放的な体勢になっていてもだるいって、なぜなんだろう。  唇を尖らせてそう考えているとき、何かが真っ黒い空を横切った。黒い空よりも、もっと黒いもの。大きくて黒いかたまりが動くにつれて、八つの光が移動する。  あれは。  あれは何?  ねえ、お母さん?
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