第1章

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 体を半分起こしながら下を見る。たくさんの木の葉が幾重にも敷き詰められている。木の葉の布団。その上に、あたしは横たわっていた。  なるほど、チクチクね、木の葉があたしの頬を突いて起こしてくれたんだ。  自分の最低限の様子がわかったので、もう少し周りに目をやった。網。大きな網だ。あたしの体の何十倍もある蜘蛛の巣がハンモックのように張られていて、その片隅に、まるで安全地帯のように葉っぱでできた島があり、そこにあたしは座っているのだとわかった。  甘い香りを含んだ風が吹き抜けた。蜘蛛の巣が反応する。葉っぱの小舟に乗ったあたしは、ゆるりと揺れた。立ち上がり、両手を広げてバランスをとる。波乗りのように両足を踏ん張って風に従う。  あたしは何年か前にやったトランポリンを思い出した。このままタイミングよく跳ね続けたら、蜘蛛の巣はあたしをもっともっと高いところまで放り上げてくれるかもしれない。それって、気持ちいいことなんだろうな。  そんなことを考えながら、ふふ、ふふ、と笑っていたら、「ちょっと、揺らさないでよ」と誰かが言った。
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