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「はい、到着」女の子があたしの島に足を下ろした。「葉っぱの数、ジャスト。計算通りね」
すごいね、とあたしは手を叩いた。「今度、あたしもやってみていい? あなたのところへ行ってみたいな」
もちろんと女の子は応えた。「でも、ほんとは葉っぱはなくても歩けるのよ。蜘蛛の巣って、縦糸と横糸があるでしょ? 縦糸はくっつかないの。だから、綱渡りのようにして縦糸の上を歩けばくっつかないわ」
「ピエロのように?」
「そう。ピエロのようにね。でも、実際はそんなにうまく歩けないから、横糸の上に葉っぱを置いて足場をこしらえたわけ。そうすれば、誰だって歩けるわ」
「へえ、賢いのね。ええと」
カオル、と女の子が首を傾げるあたしに応えた。眉毛を上げて紹介を待つカオルに、あたしは鳴子よ、ナ・ル・コと返す。
「鳴子、いい名前ねえ。ステキ」カオルはうれしそうに笑った。笑うと目と口の距離がぐっと縮まって顔が横に広がった。
その顔がとっても幼く見えたので年齢を聞くと、カオルはやっぱりあたしと同じ十三歳だった。
「いい名前って、なんでそう思うの?」
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