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召喚儀式
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勇者召喚という、世界の希望と期待を集める厳かな儀式がある。
それはある時代では禁忌とされ、ある時代では乱用されていた。
最近ではその儀式は教会が管理しており、なんでも神のお告げがないと使用出来ないらしい。
神のお告げ。
笑ってしまいそうだが、この世界ではそれなりの頻度であるというのだから馬鹿に出来ない。
まあそれでも俺は笑ってしまうのだが。
ずいぶんと昔になるが、俺はその勇者召喚にてこの世界へやって来た。
訳も分からず戦闘訓練を受け、お願いという強要に屈して魔物と戦った。
小説にあるような、人語を話す魔王なんてものは居らず、ただただ魔物と戦い続ける日々。
途中から自我を捨て去り機械のように、毎日魔物を殺していた。
ある日、魔物に蹂躙された村へ行った時、俺は小さな子供に石を投げられた。
当たるわけもなく、俺の横を通り抜けた石。
子供は俺を睨みつけ、なんで今ごろ来た、なんでもっと早く来なかった、なんで助けなかった、お前は勇者だろ、と喚き続けた。
その時に感じた虚しさと理不尽と怒りと諦めは、俺の中で勇者を殺した。
喚きたいのも泣きたいのも俺の方だ。
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