3090人が本棚に入れています
本棚に追加
だって、そうすれば魔法は使えない。努力して生活魔術がやっとになれる。
精霊からの祝福なんて、魔力量で決まるようなものなのだ。余計な力など、不必要だ。
「どうぞ恐れずに、神に貴方の名を捧げなさい」
厳かな神官の声に目を閉じ、俺は祈った。
(捧げる名はない。我、祝福を拒絶する者なり)
(……それは世界を拒絶するようなもの。愚かなり……)
声ではない声が、微かに頭の中でしたので驚いた。
赤や茶、透明に青、白に黒に、おお、水色や緑色まで。色とりどりの光が閉じた目の中で浮遊している。
どうやら本当に精霊がいるらしい。
(祝福を拒絶する)
(……世界を拒絶するか、幼き者……)
(いらん。世界を拒絶しようが、世界に拒絶されようが、お前達には関係がないことを俺は知っている)
(……そうか。だがお前は豊富な魔力がある。我らの祝福を受けねば、身を滅ぼすぞ……)
そういうものなのか。
これは困ったと、家族の姿を思い浮かべる。
俺が成人までに死ねば、彼らは悲しむだろう。だがこいつら精霊の祝福も欲しくはない。
(輪廻に属する精霊はいないのか)
(……輪廻とは……時と闇、水と風、光だの……)
(輪廻の管理者に一番近いのはどれだ)
(……不思議なことを……そうだな、闇だ……)
最初のコメントを投稿しよう!