3090人が本棚に入れています
本棚に追加
「目が覚めて、お腹が減りました」
「ベルを鳴らしてくだされば!すぐにお持ちいたしますので、お部屋に戻りましょう」
短い冒険だった。
サンドイッチを食べ、ベッドに押し込まれた俺だが目は冴えている。
祝福の本でも読むかと、人の気配に気をつけながらのっそりと身を起こす。
本はベッドサイドのテーブルに、水差しとともに置かれている。
「灯よ」
指先に魔力を滲ませ、前世の知識を元に魔法を試してみる。
ぽわんと光の球が指先から現れた。
「おー、出来た」
気分良く闇の祝福から読むことにした。
調子に乗っていたら、途中で強制シャットダウンか魔力切れかで意識が飛んでいた。
また家族との食事をスルーしてしまったので、今後は気をつけたいと思う。
三日ほどかけて、こそこそと二冊の本を読み終えた。
闇の祝福は、暗闇に恐怖を感じ難く、植物の祝福は植物がそばにあると落ち着く……うん、無駄知識だったな。
これなら勇者の歴史か国の歴史の本を買ってもらえば良かった。
俺がいた時代はずいぶん昔のようだから、最近の魔道具などの便利グッズ一覧とかが欲しい。
俺の活動範囲には、魔道具が見当たらないんだよな。
最初のコメントを投稿しよう!