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姉が俺に厳しく当たるので、教師も追随しているのだろう。
次男より長女の方が立場は上なので仕方が無いような気もするが……泣いてもいいだろうか。
「……ごめんなさい」
「申し訳ありません、でしょう。本当に貴方は、キーマライト家の恥ね!」
それは言い過ぎだろう姉よ。
そして俺の従者は今日も役に立たない。
男爵家の人間なのだが魔力が少なかったらしく、行儀見習いがてらうちへ来た人物だ。
まだ8歳なので子供だ。
美少女の姉に傾倒していて、俺の悪いところをネチネチとつついてくる。
グレてしまいたい。
まあ冗談だが。
正直、これくらいの事は可愛いものだと思える。
前は人権がなかったから、扱いがもっと酷かったからな。
最前線にいる方が気が楽だった。
殺伐とした日々に比べれば、今はぬるま湯だ。
ぬるま湯と言えば、我が家には風呂がある。これは本当に貴族で良かったと思える事の一つだ。
一般家庭には風呂がないんだと。
千年経っていても魔物に襲われ、文明が進んでいないのだこの世界は。
下水道は王都の三分の二くらいまでしかないらしい。
老人神官のいる街でも下水道がないのだ。
通りの端などに溝を掘り水を流していて、そこを流れる排水と汚物。
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