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10歳です
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くすんだ鏡を見ながら、長い髪を指でくるくると巻いてみる。
銀糸のようなさらさらストレートヘア。前髪も長く、下ろしていると暖簾をかき分けるようにしないと顔が見えない。
切りたいのだが、貴族的には長いのが主流なんだとか。
全体を後ろに流し、一括りにして紐で縛る。ゴムの開発はまだなのか。
10歳にしては背が低いようだが、前世より確実に大きくなれそうだ。前は身長170切っていたので、今生では170以上を目指したい。
両親ともに背が高いので大丈夫だろう。なんだったら目指せ180センチ。
「クリス様、そろそろ行きませんか?」
専属従者のロイドが、苦笑を浮かべ声をかけてきたのを無視しておく。
顔つきがまだ幼いんだよな。言いたくないが、女顔というか……目が大きいんじゃないかな。こう、切れ長にくいっと、きゅっと上がれば少しは男っぽくなりそうなんだが。
指で目尻を押し上げる俺に、ロイドは肩を竦め腕を掴んできた。
「あと数年もすれば顔つきも変わるでしょう。今は無駄な努力より有益な努力ですよクリス様。今日は街を1周ですよね、急ぎますよ」
「ロイドみたいな短髪にすればいいと思うんだが。そう思わないか?」
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