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引きずられたまま庭へと行き、柔軟体操をする。
「ご両親が卒倒しますからおやめください。屋敷の外を走る許可も、なかなか出なかったんですよ?」
「よく倒れてたからなー。過保護だと思うが仕方がないか。よし、では行こう」
屋敷をぐるぐる走るのはモチベーションが下がるので、街の外壁に沿って走るコースへ変更した。
外側を走るのは危険だと言われたが、ロイドはそこそこ強いし、騎士も一人ついてきてくれる。
体力をつけるには、やはり走るのがいいと思うのだ。
いざという時にいち早く逃げられる。
一番走るのが遅い俺のペースにあわせ、ぐるっと街を一周する。
息が切れている俺に比べ、散歩帰りのようなロイドと騎士が恨めしい。
屋敷近くにある、騎士の訓練所まで息を整えながら移動する。
軽く柔軟をしてから、剣の稽古だ。
「っと、うーん。クリストフ様は剣の才能がありますよね。本格的に訓練を受けてはどうでしょうか」
素振り終わりの打ち合いをしてくれた騎士の言葉に、精一杯悪そうな笑みを浮かべてみる。
「それ、父に言うなよ。言ったらお前の部屋を水浸しにしてやる」
ドヤ、とふんすか脅した俺の背中から、クツクツとロイドが笑う声がする。
「なんだよロイド」
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