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これで魔法があれば……と考え、見慣れた魔素が漂う空気からは意識を逸らしておく。
地球にだって魔素はあったのかもしれないのだ。悲観することもない。
それに、今の俺はこの世界の住人だ。勇者ではない。
身体の弱い3歳児。家族に愛されている虚弱な子供だ。
貴族の家に産まれたのだとしたら、充分な教育も受けさせてくれるはず。
ベッド横へ椅子を置き、グチグチと文句を言っている姉を見れば確実だとわかる。
「あなたはいいわね、私があなたくらいの時には、もうお勉強を始めていたのよ?」
3歳年上の姉は、そう言って俺を睨みつける。
綺麗ではあるが、子供特有の丸みのある顔で睨まれても可愛いだけなのだが、少し困る。
早口な言葉と、愚痴と文句がループした会話でもない一方的な話は、ある意味雑音と変わらない。
大事に大事に育てられ、可愛い可愛いと甘やかされていた姉は、みんなの関心を俺に奪われ嫉妬しているのだ。
ただ、憎まれているのかと言えばそうでもなく、弟は可愛いみたいだ。
弱々しく大人しい俺は守るべき対象で、だけど面白くない対象でもある。
子供ながらに複雑な心境なのだろう。
俺としてはこの姉は素直で可愛らしく、好きではある。
ただ鬱憤が溜まるとこうして俺にグチグチ言い続けるのが困る程度だ。
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