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「俺の整備は完璧だ。安心して行け」
虎蔵が親指を立てて突きだす。
「分かっている」
ハルコはうなずいてから、ヘルメットをかぶった。
「敵をやっつけろ。そうしたら、俺も早く帰れる」
「ええ。希望に添えるよう頑張るわ」
ハルコはシートに腰を下ろす。硬めのマッサージチェアといった感じのすわり心地のいいシートだ。
「除隊はもうすぐだ。死ぬなよ」
「モチ。あと4日だもの」
ハルコはZEROの電源を入れ、認証カードをスロットに差し込んだ。
「こんにちは愛ちゃん。ロクゴーマル部隊、南ルブト派遣軍第一航空小隊、南ハルコS1空曹」と機体に声をかけると音声認証システムが作動する。
『こんにちは、ハルコ。体調は良いようです』
応えたのはハルコが愛ちゃんと名付けたZERO搭載のAIだ。
「あなたもね。機器は正常に動いているわよ」
『戦闘計画書が司令部から届いています。計画書以外の指示事項はありますか?』
「計画書通りでいいわよ。私からの注文はありません。管制、ハッチを開けて」
ハルコが指示すると格納庫の扉が全開し、アフリカの灼熱の太陽光が反射する滑走路が揺らいで見えた。
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