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「そして、彼女を見つけたの」
不安だった景色から一転、三枝は目の前に天使でも描いているかのように頬を紅く染めゆっくりと目を細めた。
その両手はまるで彼女を抱くかのように大きく広がり、そしてゆっくりと胸元に落ちる。
彼女を抱きしめた三枝は話しを続けた。
「駆け寄ろうとしてやめたわ。その時にはすでに私の片想いですもの。それにご主人がそこに居るのに抱きしめるなんて、常識がないでしょう?」
颯太に同意を求めているように聞こえるが、それは自分に問いかけているようでもあった。
おそらく彼女もそうだったはずだ。やっと会えた喜びを伝え合いたかったはずだ。かつては、いつの時もそうしていたのだから。
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