石黒 三枝の場合

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「三枝、もう大丈夫だ」 それは本当に未祢(みね)と呼んだのか。 彼女から聞いていた克哉は間違いなく三枝を愛していたのだ。それが、三枝と呼んでいたのならすべてのつじつまが合うではないか。 そうすると、彼女との結婚を選んだ事に謎が残る。まだ少し時間がほしい。 「明日までにこれを」 颯太は自分のエッセイのコピーを丁寧にまとめると、それを三枝に託した。 「ええ、描いてみるわ」 次のクライアントが待っている。主導権を持つ颯太からの終了の合図だ。
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