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翌日の三枝はいつもより厚めのメイクを施していた。おそらく、どれほども眠っていないのだろう。疲労を隠すため、そのような感じが見てとれた。
夜通し考えたものの颯太の考えはまとまっておらず、克哉という人物像は曖昧なままだ。
「颯太くん、ちゃんと眠らないと」
白い頬は優しく揺らぎ、その指先は颯太の前髪に絡まる。時には少女のように、時にはすべてを包み込む母のように。
「三枝もね」
そう返すのが精一杯だ。ここのところ、常に覚醒しているような感覚があり、心のざわめきも感じる。
おそらく、彼女らにふれて颯太自身も感化されているのだろう。
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