石黒 三枝の場合

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「よく見せて」 その言葉に三枝は封筒の中から挿絵を取り出して見せた。 「そうじゃない」 颯太は三枝の肩を引き寄せる。 「三枝を、もっとよく見たいんだ」 そう言われれば、やはり静かにそれに従う。このような時間を無駄にしてはならないのだ。 「でも、とても汚れているのよ」 今日もあふれる。そんな三枝を終わりにさせてやるために、颯太は抱きしめる腕に力を込めた。
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