1.始まるための始まり

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 なんだか焦ってしまう。  セミロングの黒髪が羨ましくなるほどの艶を放ち、彼女の意志の強そうな瞳をかこっている。  私の髪は真っ黒ではなく栗色で、癖が入っているから自然とウェーブヘアなんだけど…。  黒髪ストレートって、昔から憧れがあるのよね、何故か。 「私…クラスの男子ともあまり話したりしないし」 「多分、あの子も似たような状況だと思う。性格が変わってなければね」  お互い向き合わせでソファに座る。  テーブルの上は、書類のページが開かれたモバイルやタブレットが幾つか無造作に置いてあった。  その中の一つを彼女は手に取り、私に見せてくれた。
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