星の砂

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 華やかな歌劇の高らかな歌が聴こえていた館内は、客がそこを後にして帰って行ってしまっても、まだ夢のような心地良い余韻に包まれている。  ファスティーナは先刻まで自分の立っていた舞台中央を客席に座って見ていた。  舞台の幕が上がる前、舞台の幕が下りた後、ファスティーナはこうして客席に座り、また次の舞台のことに思いを馳せる。  幕はさっきまで下りていたが、誰もいなくなった後、また上げられていた。  明日も舞台がある。  ファスティーナはしばらく明るく照らされた舞台を見つめていたが、やがて立ち上がった。  歌が、私を明日へ繋ぐ。      *
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