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俺は結衣姉に言われた通り斜めになっている卓袱台の上に乗り走り始める
そんな俺に
「どう!楽しいでしょ!」
と、聞いてくる結衣姉だが…
正直、さほど楽しくなかった
そんな俺を気に入らなかったのか結衣姉は食器洗剤を取り出し卓袱台に垂らす
すると摩擦抵抗が一気に少なくなり俺は滅茶苦茶な勢いで卓袱台の上を走り始めざるおえなくなる
そんな必死に卓袱台の上を走る俺を見てケラケラと笑う結衣姉
おそらく食器洗剤をすぐに取り出せるように用意している事から最初っから必死に走る俺を見て楽しむつもりだったのだろう
ケラケラと屈託の無い笑顔で食器洗剤をピュルピュルと俺の足下に垂らす結衣姉…
走り続けるのに限界がきた俺はツルン!と足を滑らせ転び顎を卓袱台に強打する
シャレにならないぐらい本気で痛すぎて一瞬、声すら出せずにもがく俺を見て
「アッハハハ!」
大笑いする結衣姉…本当に酷い姉だ
結衣姉が大笑いする頃には痛みも少し和らぎ
「フギャァアア!!」
と、大泣きする余裕が出来る俺…
「アッハハハ!」と大笑いする結衣姉と「フギャァアア!!」と大泣きする俺を見て結愛姉が人差し指でメガネを直しながら信じられないぐらいの冷たい視線で見下ろし
「うるさいんだけど…ちゃんとそれ片付けなさいよ、あんた達」
そう言うと片手に何かの小説を持ち居間から出て行く
結愛姉は結衣姉とは違いインテリジェンスな雰囲気を漂わせ冷徹な表情をする
そんな結愛姉を見た結衣姉と俺は、ピタリと笑い声と泣き声を止める
なんとなく本気で怒らせてはいけない系の人と俺と結衣姉は感じていて結愛姉にはあまり逆らわないようにしている
まさに泣く子も黙るどころが笑う結衣姉すらも黙らせる結愛姉
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