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明日は妻の誕生日。
結婚して五年。交際期間を含めると八回目。
結婚当初と比べると喧嘩も増えたけどその分お互いを理解出来ているのか普段はとても仲が良い。
だからお祝いしてあげたい。
朝の四時に起きて、弁当を作る。
玉子焼きと唐揚げ、タコさんウインナーにウサギのようなリンゴ。おにぎりもシャケとツナマヨ、それと梅干しとメニューはもう決まっている。
八時には家を出て初デートで行った神社にお参りに行く。
そのあとには思い出の公園へ行って、初めてキスしたベンチで弁当を食べる。
食べ終わったら人気の映画を見て、ショッピングモールでプレゼントを一緒に選ぶ。
夜はオシャレなレストランを予約して豪華なディナー。最後に誕生日ケーキを出してもらうのは忘れられない。
――――
「ありがとう。あなた」
翌日のレストランからの帰り道。
妻が笑顔でそう言った。
それだけで幸せだった。
だがしかし、妻の誕生日にはここまでするのに、僕の誕生日は『おめでとう』の一言すら無い。
妻には言えないが、最近は妻の誕生日が面倒で仕方ない。
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