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春元が美佳に質問するよりも先に、美佳はもう芝生に向かって歩き出していた。
「君は大丈夫ってことだな」
苦笑混じりに美佳の背中を見つめる春元だった。
「よし、それじゃ、スオウ君はイツカちゃんをおぶってくれ。玲子さんのことは君に任せたぞ」
春元がそれぞれにてきぱきと指示を飛ばしていく。
「スオウ君、お願い出来る?」
イツカが申し訳なさそうな表情を浮かべて、スオウの顔を見つめてきた。
「任せてくれよ。高校ではバスケ部に入っているんだぜ。体力にはそれなりの自信があるからさ」
スオウはイツカに背中を向けると、その場に片膝を付いた。
「それじゃ、乗るからね」
イツカがスオウの背中に乗る。スオウの背に重みとともに、人肌の温もりが広がっていく。
「大丈夫? 重くない?」
「大丈夫、大丈夫」
「あと……ゴメンね……」
背中のイツカが急にスオウにだけ聞こえる小さな声で謝ってきた。
「えっ? どうしたんだよ? おれは全然平気だから」
「ううん、そうじゃなくて……ほら、分かるでしょ? 私、胸……小さいから……」
「えっ? あっ、うん……その……」
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