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スオウはさっきの刑事の顔を思い出しながら答えた。
「お言葉を返すようですが、本当に警察の力があてになるとお考えでいますか? さきほど、二階から降りてくるときの表情を見ていたら、そのようには思えませんでしたが」
男はスオウの心の内を覗き込むかのような強い瞳を向けてきた。
「どういうことですか? それじゃ、まるでぼくのことを監視していたみたいな言い方じゃないですか?」
男の言葉に対して、不信感が募った。
「監視ではなく、あなたのことを詳細に観察していたんです」
男はさらっと言い放った。
「観察って……? さっきから何を言いたいんですか? もしかして、困っているぼくのことをからかっているんですか? だとしたら──」
スオウは思わず立ち上がりかけたが、それ制する形で男が言葉を発した。
「いえ、そうではありません。わたくしが言いたいのは──つまり、この国のどこかに警察とは違う、信頼に足りうる大きな力を持った存在がいるとしたら、あなたならどうしますかと訊きたかったんです」
「えっ? 言いたいことがよく分からないけど……?」
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