第2話 わたくし、死神の代理人デス

7/10
前へ
/924ページ
次へ
 ―――――――――――――――― 「それで、あんたは妹に何をしてくれるんだ?」  スオウは単刀直入に紫人に問い質した。 「さきほどわたくし、代理人と自己紹介しましたが、正しく言いますと『死神の代理人』になります」 「死神って……黒いローブを着たあの死神のことか?」 「ええ、あなたが今頭で思い描いているであろう、あの死神のことです」 「それじゃ、さっき言っていた大きな力を持った存在って、まさか死神のことなのか……?」 「はい、その通りです」  紫人は我が意を得たりという風に笑顔を浮かべた。 「ふん、死神が妹を助けてくれるって訳か……。これがドッキリ番組だったら笑うしかないな。でも、そういう訳じゃないんだろう?」 「はい、わたくしの言っていることにウソはありません」 「じゃあ、どうやって難病の妹を助けてくれるんだよ?」 「こちらで心臓の移植手術費用を全額ご用意いたします」  紫人はセールスマンが自社の製品を紹介するかのような口調で言った。 「それってもちろん、タダじゃないんだろう?」 「はい、申し訳ございませんが、死神もタダ働きするわけにはいかないので」     
/924ページ

最初のコメントを投稿しよう!

474人が本棚に入れています
本棚に追加