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「それで、あんたは妹に何をしてくれるんだ?」
スオウは単刀直入に紫人に問い質した。
「さきほどわたくし、代理人と自己紹介しましたが、正しく言いますと『死神の代理人』になります」
「死神って……黒いローブを着たあの死神のことか?」
「ええ、あなたが今頭で思い描いているであろう、あの死神のことです」
「それじゃ、さっき言っていた大きな力を持った存在って、まさか死神のことなのか……?」
「はい、その通りです」
紫人は我が意を得たりという風に笑顔を浮かべた。
「ふん、死神が妹を助けてくれるって訳か……。これがドッキリ番組だったら笑うしかないな。でも、そういう訳じゃないんだろう?」
「はい、わたくしの言っていることにウソはありません」
「じゃあ、どうやって難病の妹を助けてくれるんだよ?」
「こちらで心臓の移植手術費用を全額ご用意いたします」
紫人はセールスマンが自社の製品を紹介するかのような口調で言った。
「それってもちろん、タダじゃないんだろう?」
「はい、申し訳ございませんが、死神もタダ働きするわけにはいかないので」
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