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「言うまでもないが、おれは大金は持ってないからな。なにせ妹の手術費用さえないくらいだし」
「ええ、お金ではなく、別の物で払っていただくことになります」
「別の物って……まさか、おれの魂か?」
死神が人間の魂を奪う話ならば、スオウもゲームや漫画で見たことがある。
「まあ、当たらずといえども遠からずといったところですね」
「魂じゃないなら……そうか、おれの命と交換ってわけだな。その程度のことならば、今すぐにでも話に乗るぜ。妹の為ならば、この命ぐらい──」
スオウは自分でも知らぬうちに、この男の突拍子もない話に聞き入ってしまっていた。それほど妹のことを強く思っていたのである。
「いえいえ、そう先走らないで下さい。死神といえども、そこまで薄情ではありませんので」
「どういう意味だよ? 魂でも命でもないとしたら、他におれに差し出せるものは何もないんだぜ?」
「簡単なことですよ。あなたにはあるゲームに参加して頂きたいのです」
「ゲーム?」
スオウは鸚鵡返しに訊き返した。
「はい。死神が主催する、自らの命を懸けたゲームです。そのゲームに見事勝利しますと、勝者にはご希望の額の賞金を差し上げることになっています」
「──なるほど、そういうゲームか。あんたの話の内容は分かったよ」
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