堕落

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 愛されてみようと思った。 それは嘘ではなく、少しだけ――ほんの少しだけ俺の中に生まれたもので。 「――何考えてんの?」  はっ、と俺は目を開けた。 鼻先に、すり、と鼻先を当ててきてややこそばゆく、逆光で顏がよく見えない。 「……なんでも――」 「――なくはないねぇ」  と言いつつ、目の前の男――トールさんは今度は俺の額にキスを落としてきた。 またこそばゆくて顏を背けたかったがトールさんの目が許さない。  この男は俺の考えなどお見通しだ。  ぎしり、とベッドを軋ませながらトールさんは俺から抜いた。 その擦れに俺は一瞬身悶える。 慣れてしまったとは言い難いその触りは名残惜しくも隣に離れた。 トールさんが俺の隣に、まふん、と倒れてきたからである。 「ふー……ちょっと休憩」
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