大久保綾女

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 教育企画部主任・若林和樹。1期上の33歳。独身。爽やかな青年という言葉を形にしたらこうなるだろうという感じ。マラソンが趣味という若林はいつも颯爽とスタイリッシュ。仕事もさらっと男らしくこなす。  営業側…顧客の要望を受けて研修を行ったりすることも多く、綾女とは何かと接点がある様だ。廊下で立ち話をしている所を見かけたりするのだが…なんというか…同僚の範囲を超えた近さなのである。もともとパーソナルエリアのない人なのかと思ったが、綾女以外はそうでもない。綾女に気があるのだろうと思う。  綾女もこんな図体のでかい男よりは、若林のようなスマートな男の方がいいに違いない。 「あれだけ自信満々でいられたら」「オシャレに決まるスタイルだったら」「爽やかだったら」「話が上手かったら」「男らしく立ち回れたら」 若林を見ると自分の嫌な部分だけが浮き上がってくる。  堂々とした若林と凜とした綾女が並ぶ姿はお似合いで、「今日こそ話しかけよう」いう決心は「自分なんて」という劣等感の陰に覆われてしまい、どうにも一歩踏み出せないのであった。
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