長旅のあと

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側宮護衛団のリザウェラ・マーライト、マゼラスエイド・サーゴイル、カーライト・ヘルイスト、マラート・クウェメント、ハロルディン・ノーストリオ、メイニオ・カロナイアの6人。 ハイデル騎士団14人とそして…彩石(さいしゃく)判定師ミナ・ハイデル。 彩石とは、異能を助ける働きをする石で、3種類ある。 サイゴクと呼ばれる異能を増大させるもの、サイジャクと呼ばれる異能を減少させるもの。 そしてサイセキは、力を内包する。 ミナは、彩石判定師として、結界構築に使われるサイセキを判定するためにザクォーネ王国に行った。 判定とは、完全体か不完全体かを見極めること。 彩石は、最小単位が1カロンになっている。 それに満たない力量がある石を不完全体、きっちり1カロン単位で量れる石を完全体と呼ぶ。 彼女が行うのは、ただそれだけのはずだった。 シィンは茶を飲みながら遠いところを見るような目をした。 あちらで行った様々な事柄はまあいいだろう。 だが…その後のザクォーネ王国の心配までした彼女は、様々な情報を提示してきた。 それを放っておけるアークではないから、正直に話すのだ…それもまあ…仕方がないだろう。 だが、その解決策として提示してきた事柄は…まあそれも、彼女でなければ気付けなかったことだろうし、他の者が気付くのは派遣の準備など考えても遅れる。 多くの情報をいち早く知ることは、国にとって、何よりアークにとって有利となる。 シィンは諦めの溜め息をついた。 仕方のない、ことだ。 ただ、それがあまりにも多すぎて…自分の仕事が増え続けて、放り出したい気分なのだ。 しかし、それはそれとして…と、シィンは思い出す。 昨日、王城書庫管理官マエステオ・ローダーゴードにより指摘された可能性…ザクォーネ王国に自生するメグスという植物から作られる商品が、()の国と交易をする材料になる可能性について考えた。 アークと宰相ユラ-カグナ・ローウェンは、それについて悩んでいる。 今回、取引に使われるのは、主にツェリンスィアという花から作られる薬だ。 塗布すれば万能薬、飲めば若返ると言われる薬。 こちらから提供するあらゆる便宜に対して、その薬を供給すること。 それが取引の主な内容だ。 それに加えて、漁業関係の情報交換という両国の交流も考えている。 そこへさらに、メグスから作られる多様な商品を買い取る…交易を始めるべきか否か。
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