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「安藤さん言っておきますが、この鈴木教諭と写っている女性は先日結婚したばかりの、15才年下の奥様ですよ。
高級ホテルから出てくるのを見かけたので、記念に写真を撮ってあげたのです。
今度焼いてから差し上げる約束をしたんですよ」
「何だと!? 俺はてっきり……。
むう。コホン。 金田、それならそうと言ってくれれば…。
何とも美しい奥様ではないか!」
「それより安藤さん、あなた4月1日生まれって本当ですか?
俺と同じ年だったんですね。
安藤さんじゃなくて、吾郎って呼んでもいいですか?
それと、もう敬語も要りませんね」
「なっ、何とも気安くなったものだな。
た、確かに、俺は4月1日生まれだし、学年も同じになってしまったが…。
しかし、俺の方が年上には違いないのだ…。
せめて、俺が年上でいる間だけでも、今まで通り『安藤さん』でいて欲しいものだな」
「わかりました。
では、明日4月1日は『安藤さん』と呼びましょう。翌日からは、吾郎で」
「お、お前、ま、まさか…」
「おわかりですか? そうです。 俺の誕生日は、4月2日ですよ」
「なんと! これぞミステリー! お前は本当にミステリ研に相応しい奴だな」
「というわけで、吾郎。鈴木教諭のところへ行って、精々ゴマをすろうぜ。
すったもんだした挙句、やっと手に入れた幼妻らしいしな」
「お、おう。
何だか金田、急に偉くなったな」
「遠慮するのをやめただけだよ。
明日の吾郎の誕生日と、明後日の俺の誕生日祝いにホテルを予約したから、よろしく」
「金田、随分手回しがいいのだな…」
「ふふ。 俺はチャンスを逃さない男だぜ」
「か、金田…、お手柔らかに頼む…」
さらに【続く】
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