私は実は

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昨日はお母さんと子供が手を繋ぎ誕生日プレゼントのことについて話してた。子供は最高の笑顔を見せる。その笑顔につられてお母さん、私まで笑顔になってしまう。なんて無邪気で可愛いんだろう。私も、幼い頃はそんな感じだったのかな。 一昨日はそこの角を曲がればあるケーキ屋からチリンチリンと鳴るベルと共に出てくる夫婦が美しく綺麗な笑みをこぼしていた。 「裕大、喜んでくれるかな」 「喜んでくれるさ」 恐らく会話からして、自分の子供の誕生日ケーキを買いに来たのだろう。 私の親もそんな会話してたのかな。 毎日毎日が誰かの誕生日で笑顔で溢れかえっている。そして、隣には誰かがいる。 こんな光景は何度も何度も見てきたはずなのに どうしてだろう、ものすごく羨ましい。 何故なのか不思議に思うよね。 だって、私は生きていないから… 誰にも祝って貰えない。分かってるよ、分かってる。だけどやっぱり… 祝って欲しい。そう思ってる自分がいた。叶わないことを思っていてもやっぱり人は求めてしまうんだ。 「って、こんな事何回思ってきたんだろう」 思わずふっと笑ってしまった。 叶わなくても願うくらいいいよね。 でも、 「あれ…君一人?帰らないの?」 そんな時私に一筋の光が見えた。
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