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「俺が感じたままを言わせてもらうけど」
伊坂さんがすっと目を細めて私を見る。少し意地悪な、思春期の少年みたいな瞳。
その視線に私の全身から血の気が引く。
もしかして、フラれるのかもしれない。
僕たち、合わないみたいだから別れようって。
思ったような女じゃなかったよって。
目の前がだんだんに暗くなってきて、私は下を向いてギュッと拳を握りしめた。
「キミ、ごめんなさいって言い過ぎてるよ」
「…はい?」
恐る恐る顔を上げると、眉間に皺を寄せる伊坂さんがいた。ちょっと、こわい。私、なんで怒られるの?
「今日、待ち合わせ場所で会ったときから言ってるぜ?
『10分早く来ちゃってごめんなさい』
『私、歩くの遅くて、ごめんなさい』
映画館で『通路側の席に座っちゃってごめんなさい』
カフェに入った時も
『ソファの席に座わせてもらって、ごめんなさい』
…なんでキミ、そんなに謝る?なんか俺、キミに対して威圧感与えてるかな?」
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