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なのに、伊坂さんが席を立つそぶりはなかった。
「サラちゃん」
「…はい!」
泣き顔にならないように強気を装った。
「俺には、ごめんさないなんていちいち言わなくていい。
ごめんなさいをいう時は、嘘を吐いた時と約束を守れなかった時。な?」
伊坂さんが柔和な笑顔で言う。
「…え?」
私、フラれるんじゃないの?
「良かったら、このあとバーに行かないか?こないだ取引先のやつらと接待で行ったとこなんだけど、サラちゃん連れて行きたいなって思って。
夜景がなかなかいいんだ」
嘘みたい…バーだって!
私はハーブティの残りを飲み干したあと、「はい、行ってみたいです!」と答えた。
「良かった。じゃあ、店に席の予約を入れるから、待ってて」
俊敏にスマホを持ち、立ち上がる伊坂さん。
ロイヤルミルクティは、半分くらい残ってる。
お酒の力を借りて。
今夜あなたのこと、もっと知りたい。
【完】
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