勘の良い犬

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兄『(俺は兄、今年の春から大学に通う青年である)』 兄『(最近うちでペットを飼い出した。ここ掘れワンワンで有名な犬である。この前俺の母と今年から小学4年生になる弟が気紛れにペットショップに行き、その時目が合った犬に興味を抱いた弟が噂のけつだけ星人にも負けないくらいの駄々をこね、大金を叩いて買ったらしい)』 兄『(情操教育の為だと母は言っていたが、その目はどうみても犬にメロメロだった。弟を建前に自分が犬を飼いたかっただけであろう)』 兄『(しかし弟が犬の世話を熱心にしていたのは最初の2週間だけであった。それからは徐々に散歩に行く回数も減り、今では母に言われないとエサも与えない始末だ。流石現役小学生。熱しやすく、冷めやすい)』 兄『(そして今俺は飼い犬、カムイを連れて散歩に出ている。理由は言わなくとも分かるであろう。弟がやらないから、代わりに俺がやっているだけだ)』 兄『(まるで子を持った母親のような気分である。俺の母親は自分でやらず我が子に散歩を押し付けたが、文句を言っても始まらん。男ならば文句を言わず黙々とやることをやるべきだ。というか、そう思わないとやってられない)』
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