2. 回想、男泣き

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「おらはたがおだぁ。まんず仲いぐしてけれな」 「よろしくな。ほら、立てよ」 佳彦はそう言って隆生に手を差し伸べた。隆生がその手を握ると、佳彦は力強く手を引き、尻もちをついたままの隆生を一気に立ち上がらせた。 「ん? それでタカオって読むのかよ」 佳彦は隆生の左胸についた名札をまじまじと見つめたあと、何か思いついたように言った。 「よっしゃ。あだ名が決まった。おまえはナマだ」 「は? ナマ? なんでや」 隆生は意味がわからず首をかしげた。 「ほら、名前に生って漢字が二つあんだろ。だからあだ名はナマにきまり」 「ナマっておめ、なんぼなんでもおがでねが?」 隆生は少しむくれてそう言ったが、聞く耳持たずといった感じで佳彦は言った。 「ナマのことはオレがぜったい守ってやる。明日からは安心して学校に来いよな」 こうして、四人は仲間になった。この街に来てまだろくに友達がいなかった隆生にとって、飛び蹴りをくらったことや、変なあだ名がついたことなど全く気にならないほど嬉しい出来事だった。 翌日の昼休み、飛び蹴りをしてきた同級生が、頬を赤く腫らし、泣きながら隆生に謝ってきた。 「昨日は本当にごめんなさい」     
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