桂先輩の観察

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 男のくせにいちいち文句を垂れて! と言いたかったが、桂先輩が私の一つ上の先輩だということをふと思い出したため、グッとこらえる。    大学のサークル仲間に言わせると、私は桂先輩が先輩であることを忘れることが多々あるそうなので、私にとって大変貴重な自覚を持った際には、桂先輩に対して決して反論しないと決めている。  それによくよく考えてみれば、桂先輩は仕事が忙しく、滅多に休みがない。しかし、貴重な休日に私を食事に誘い、大概私が「ひろみちゃんパフェが食べたい」と言うので、ふりーだむへやって来る。そのことも考えれば、私は反論どころか、感謝の言葉を並べ続けなければならないのではないだろうか?  それができないのはなぜか?    簡単なことだ。私が桂先輩のことを阿呆だと思っているからだ。  理由その一。  何が楽しくて貴重な休みの日を、私みたいな巨大パフェをただただ貪る女を見続けていることで消費していることがもったいない。私が桂先輩の立場であれば、ふりーだむへポータブルゲーム機を持ち込み、日が暮れるまで一人でゲームをしている。何と有意義な休日だろう!
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