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昨日はお母さんと子供が手を繋いで誕生日プレゼントの話について話していた。
子供の喜ぶ姿、見ている私まで頬が緩んでしまう。
私も幼かった時そうだったのかな。
一昨日はそこの角を曲がればあるケーキ屋からチリンチリンと鳴るベルと共に夫婦が出てきた。
「裕大喜んでくれるかな」
「喜んでくれるに決まっているだろう」
「ふふ、そうよね」
幸せそうだ。
こんな何気ない日常を何度も何度も見てきた。
なのに、なんだろう、物凄く羨ましい。
なんでかって?だって、私は生きてないから。
そして、どうしても一つだけ思い残したことがあって今此処にいる。
「って、何度も思ってるなこれ」
絶対に叶わない望みだと思っていたとしても、やっぱり私はつい求めてしまう。
だけど、
「君一人?暗くなるし危ないよ」
学校帰りだろうか。制服を着て心配そうにこちらを見ている高校生が声をかけてくれた。
「見えるの…?私のこと。」
「見えるよ…?」
えっ!
私が死んでから二年間初めてだ"見える人"に会ったことが。
「もしかして、君…」
「うん、私幽霊なんだ」
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