0人が本棚に入れています
本棚に追加
「幽霊…だったんだ。俺霊感強いのか分からないけど、見える」
「そうなんだ」
彼は微笑んだ。その笑みにつられて私も微笑んだ。
この瞬間私はある一つの事が分かった。
彼は優しい。少ししか喋ってないけど分かる。
何故かって?
私を怖がらないから。
「あのね、私二年前、誕生日の日にこの通りで車の事故に巻き込まれてそのまま死んじゃったんだ」
「そうか…」
初めて人に話したな。
「……思い残したことがあるんだよね?」
彼が覗き込むように私を見つめてくる。
「うん、あるよ…」
「俺で良かったら聞かせてくれない?」
いいのかな、彼に頼って。
初対面なのに迷惑をかけてしまう。
だけど、このチャンスを逃したら絶対に後悔するに決まってる。
「その、今日誕生日で。お祝いして欲しい…」
少し控えめな声で彼を見て私はそういった。
最初のコメントを投稿しよう!