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「勿論いいよ」
「ありがとう!」
「そういや名前教えて?」
「ゆき、そっちは?」
「りょうだよ」
でも本当にありがたいな。
「あ、でもケーキとか食べれないよね…」
「ケーキは食べれなくて良い!ただ、祝って欲しかったの!誕生日に死んじゃったことが悲しくて、そしたら安心していける」
「そうか」
本当に優しい。
そんな彼の優しさで溜め込んできたものが溢れそうになった。
「泣いていいと思うよ」
彼の一言で私は大粒の涙を流した。
「死んでから誕生日来ても私はずっと十七歳のまま。ケーキだって食べれなかったし誰からも祝って貰えなかった。大事な家族とも見るだけで喋れなかった…
ずっと独りだった。寂しかった」
「今は独りじゃないから」
彼の眼差しに心が苦しくなった。
彼の頬を撫でようとそっと手を伸ばしても透けて触れない。分かってはいたんだよ。彼は人間、私は幽霊。
自分の頬を撫でてみても、なにもあたたかくない。温もりが伝わらない。
冷たいよ。
寂しいよ。
嫌だ…嫌だっ!
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