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※scene1  そのあまりにも猟奇で血塗られた第一の事件が、ここ東京で起こったのは、十月上旬の吉祥寺でのことだった。  会社帰りの若いOLが、深夜の路上で頸動脈と腹部を鋭い刃物のようなもので切り裂かれて惨殺された。  現場には被害者の遺体の他には、一面の血の海と、そして一輪の白い薔薇だけが残されていたが、犯人の手がかりになるようなものは他には一切残されていなかった。  そう、指紋も足跡も一切である。  殺害現場に残された、明らかに被害者の持ち物とは思えない白い薔薇だけが、唯一の手がかりとも言えなかったが、その薔薇からも被害者の血痕以外は特にこれと言ったものは検出されなかった。  どちらにしても、悲惨な殺害現場に不似合いなその薔薇は、捜査当局は当初、犯人がわざわざ現場に残していったものだと言うふうに考えていた。  己の殺した被害者へ対する手向けのつもりなのか、それとも犯人にとっては何か特別な意味のある行為なのか……。  捜査員の間でも、様々な憶測が取り沙汰されたが、当然、真相は犯人が捕まるまでは真相は闇の中だった。     
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