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そう言って、警官に自分が持っていた薔薇の花を美幸は手渡した。
「三件目の事件にして、やっとなんか手がかりでも見つかったのかね」
草介の言葉に、「だったら良いんだがな」と呟きながら、美幸は長身の友人と並んで鑑識が待つ被害者の遺体の側まで歩み寄った。
「どうしました、何か手がかりが見つかったんですか?」
遺体の傍らに屈み込んでいた顔馴染の鑑識に訊ねると、彼は美幸と草介に向かって、小さなビニールパックを差し出して寄越した。
「害者の爪から、何やら動物の毛のようなものを採取しました」
「動物の毛……?」
ビニール越しに、その短く固い茶色の毛のようなものを透かして見ながら、美幸は訝しげに首を傾げた。
「犬や猫のもんじゃないって感じだな」
隣で美幸の手元を覗き込みながら呟く草介に、「分析してみなきゃ、何とも言えないけどね」と首を振る。
第一、これが犯人に直接結びつく手がかりなのかも良く分からない。
まさか、犯人は動物連れだったとでも言うのだろうか?
あるいは、今回の被害者が、自宅で何か犬や猫以外の動物を、ペットとして飼っている可能性だってある。
「動物が、刃物振り回すわけねぇよな」
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