友として

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何故だか分からないけれど、涙が零れ落ちた。止まれと命令してもまるで届かず、溢れてくるものは拭っても拭っても拭いきれない。 帰路の途中にある公園のトイレに向かった。濡れた手を洗い流すこともそうだけれど、今の顔を洗い落とさずして街中を歩けないからだ。 酷い顔だった。 ぐちゃぐちゃだった。 目は腫れて赤く充血し、意味もなく鼻水が垂れていた。顔も全体的に紅潮していた。 こんなにボロボロに泣いたのはいつぶりだろう。何事にも動揺せず真っ直ぐ生きていく、と決心して以来、弱音を吐くことも泣くこともやめたはずだから、それ以前だろう。 ただ、何でこんなに涙が落ちていくのか分からなかった。 漠然と、"劣等感"という言葉が浮き上がってきた。 それは、金城に対してではない。 金城に声をかけた人に。 金城は言った。 俺のこともっと知りたい。 だから、一緒にいたいと。 でも、金城は何だか嬉しそうだった、声をかけられたのが。 それが何だか悔しかった。 その彼女に負けた気がした。 公園出る頃にはだいぶ暗くなってきて、街灯が付き始めていた。 結局、この気持ちは解消されることなく、いつの間にか自宅に着いていた。
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