大切なもの

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翌朝、家を出る前、スマホの電源を切ったままであることに気付いた。すぐに電源を付けると、金城からメッセージが来ていた。内容を確認すると、とてもシンプルに昨日のことの謝罪と、ちゃんと話がしたいということが書いてあった。 謝罪の意味が分からない俺は、刹那息を止めた。そして、ちゃんと俺の方からも謝ろうと決意した。 ――その日の昼休み。 外は暑くなってきたので、休憩スペース等で利用できるテラス席で昼食を取ることにした。妙に緊張している俺は、早食いになる。 「も、もっとゆっくり食えよ」 そんな俺を見かねた金城は、苦笑しながら言った。そんなことはない、と否定の言葉が口をつきそうになる。俺はせかせかと動く手を止めた。 「そ、そうだな…」 上手く言葉が出ない。 「…あのさ、昨日のことなんだけど…」 そんな俺の様子を見てか、金城の方から話を切り出した。 「あ、ごめん。何か、俺、凄く感じ悪かった…よな?」 何とか振り絞って謝る。買っておいたお茶を飲んで喉を潤した。 「いや、俺の方こそ、悪かったな」 「金城は悪くないから」 ぎこちないけれど、少しだけわだかまりみたいなものが取れた気がした。そう思ったら、自然と笑みが零れた。
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