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「なんだよ。何笑ってんだよ」
自分も笑ってるくせに、俺の笑いに突っかかる金城は、いつもの金城だった。そして、いつもよりちょっぴり輝いて見えた。本当はこのまま他愛もない話をして楽しく終われば良かったのだが、やはり昨日のことは気になる。
「…それで、昨日のあの子とは、どうなったんだ?」
俺は意を決して聞いてみた。
「ん?ああ、特に何もねえよ。ちゃんと断ったし」
自分ばかりが緊張していた分、腑に落ちない気もするが、彼の顔がスッキリしているようなので、外野の俺がとやかく言う意味もないのだと悟った。
しかし、俺は聞いてしまった。
「…最近、金城くんの隣にいるあいつさ、ちょっと邪魔だよね。何て言うんだろう…もっと、こう、かっこいい人だったら、納得なんだけど」
「分かるそれ~。何であんな陰キャが仲良くしてるのって感じ。何様だよ」
ただの噂話。彼女らにとっては、何の他愛もない愚痴なんだろうけど。俺の頭の中で、その言葉たちが、何度も語り掛けてきた。
バレぬようにと回り道をしたためか、いつもより自分の教室に着くのが遅れてしまった。
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