秀才

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秀才

悠平の眠る病院と隣り合った街。 そこに高校生になったばかりの少年少女がいた。 一人は、俊哉と言い学校一の秀才と言われていた。 その連れの少女は、沙羅と言い、周囲は二人を恋人同士だと認識していた。 だが、勘の鋭い者の目には何かしら不自然に映る。そんな二人だった。 俊哉は明るく友も多いが、いつ再発するか分からない難病を抱えている。 俊哉は、生まれたときから十年ほど眠りについていたのだ。 目を覚ましたときに教育も受けていないのに、年相応の知識があったことに周囲を驚かせた。 それとは別に年不相応に興味の対象には執拗な執着心を見せ、大人を驚かせた。 沙羅は、俊哉の執着心によって、現在の彼女の位置にいる。 沙羅だけが知っている俊哉は暴君。 実際に沙羅の肌には痣が絶えない。 従わなければ殺される……。そうまで思い詰めて俊哉の側にいる。 また眠りに落ちてくれればいいのに、と沙羅はいつも思う。
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