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「はい、皆 席に着けー」
入ってきたのは空手部顧問、数学担当の相良だった。
「今日から1年A組の担任になる相良吉弘だ。一年間よろしく。」
そう話す相良はスーツをキチッと着こなし緩いウェーブの髪もワックスで後ろに撫で付け
以前見た姿からはかけ離れた教師然としていた。
うおー!!マジかよ?
空手の顧問の癖に全然顔出さないし、半裸の変態だったくせに
どんなメタモルフォーゼ!?
芳樹がそんな失礼極まりない事を考えていると相良と目が合った。
難しい顔をして凝視している。
一体、何だってんだ。
困惑していると相良は振り切るように前方を見て話を終わらせた。
「取り敢えず今日はこれで終わりだ。本格的な授業は明日から。
各自解散してくれ。」
あまり気にしない事にして自分も教室を出ようと相良の前を通り過ぎようとすると
小声で呼び止められた。
「中村。部活が終わってからで良い、俺の寮室に来い。」
「えっ?」
驚愕して振り向くと、相良は返事も聞かずに廊下へ出て行ってしまった。
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