124人が本棚に入れています
本棚に追加
生徒会室では中央に置かれた豪華なテーブルに尻が半分沈んでしまうような
フカフカのソファ、そこへ所在なさげに芳樹は座らされていた。
テーブルには香りの良い、これまた華美なティーカップに恐らく名前も知らないような
紅茶が注がれている。
「どうぞ、お召し上がりください。」
副会長がニッコリと微笑み促してくるが、どうにも芳樹には胡散臭さしか感じられない。
取り敢えずボケっとしててもしょうがないので警戒しながらも紅茶に口を付けた。
「あ、美味しい。」
少し緊張して咽かカラカラだったことに気付いた芳樹は少し苦みの効いた爽やかな紅茶を一気に飲み干した。
「お気に召して頂いたようで良かったです。
即効性ですので直ぐに効いてきますよ。」
ハッとして副会長の顔を見上げると変わらずニッコリと微笑んでいる。
先程の物騒なセリフとのギャップに背筋を冷たい汗が流れた。
そうだ、今朝の様子から生徒会が自分に対し好感を抱いていない事は明らかだったのに
油断した!
しかし一高校生が薬のような物まで使うなど芳樹の常識では考えられなかったのだ。
「俺、帰ります!挨拶なら済ませましたし…」
最初のコメントを投稿しよう!