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須藤と神田は生徒会室への廊下を走りながら芳樹の身を案じていた。
「会長の当麻が代々政治家を輩出する家系なのは知っているな?」
神田が渋い顔で言うと、モチロンと須藤が答える。
「代々優秀な政治家だが、そこに辿り着くまでの手法が黒い噂で埋め尽くされている。
敵対する者は徹底的に排除し、もう二度と登って来る事が出来ないように社会的に抹殺される。
反して周りには当麻家に忠誠を誓う優秀な人材だけを確保する。
あいつは疑わしきは全て排除する。善悪関係なくな…」
忌々しそうに呟く神田を横目に、須藤が改めて最近の自分の気の緩みを反省していると生徒会室前に辿り着いた。
勢いよく扉を開けた須藤と神田の目の前には信じられない光景が移った。
中村が当麻会長に抱かれキスをされているのだ。
二人共あまりの出来事に声も出ない。
どれくらいそうしていたのか、ようやく芳樹を解放した会長が太々しい笑顔で、それでいて魅惑的な声で囁いた。
「私の物になれ…中村芳樹。」
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