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別れ
ようやく春の兆しが見え始めたポカポカ陽気の3月下旬。
由紀(ゆき)ちゃんと俺こと中村芳樹(なかむら よしき)は、駅のホームで抱き合い別れを惜しんでいた。
「芳樹くん、連絡ちょうだいね。」
「もちろん、毎週末でも帰ってくるよ。」
少し、潤んだ目で見上げてくる由紀ちゃんは超絶可愛い。
昨年冬から付き合い始めたから、すぐ受験戦争に揉まれ、あまり恋人らしい時間は過ごせなかったが、それでも初めての彼女に中学生活最後の最高の思い出になった。
この春から俺は空手の推薦で東京の高校へ入学する。
スポーツ推薦なので、一般入学者より一足早く入寮手続の為に上京する事になった。
毎週末帰ってくるとは言ったが、スポーツ推薦だ。入寮早々、春休み明けまで合宿があるし週末だって中々休む事は許されないだろう。
それでも!人生初の彼女だ。遠距離になろうとも少しでも この恋を永く…せめて×××を経験させてくれるまでは!
(もちろん、彼女は大好きだ。でも男の頭の中には常にそういう事で一杯だ。ごめんよ由紀ちゃん。)
かくして、涙ぐみながら可憐で可愛い笑顔を浮かべた由紀ちゃんを胸に俺は東京へと旅立った。
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