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「そんな画面ばかり見ていないで、少し休んだらどうだ」
強い調子で、男が聞いてくる。
いつの間に部屋に入ってきたのかわからず、どきりとして、キーボードを叩く手を止めた。
「もう少しだけ」
「僕だって、気持ちがわからない訳じゃない。でもどうするつもりなんだ?」
二十年間の結婚生活で、おそらく見せた事の無い顔をして、夫である男の質問に答える。
「どうしても許せないの」
「何年経ったと思ってる」
「五年と二ヶ月。でも、何年経ってもきっと同じ」
長く息を吸い、つかえになりそうなものを全て含ませて、一気に押し出す。
これからぶつける言葉には、大きな責任が生じる。
覚悟を決める必要があった。
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