恋人としての非日常

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「全部…あんたの所為だろ…っか野郎」 泣きながら悪態をつく俺を、月山薫は苦笑しながら頭を撫でてくれる。 幸せすぎて…嬉しすぎて、涙が止まらない。 こんなにも幸せでいいんだろうか? ぐしぐしと目を手の甲で拭うと、タオルケットに包まったまま、月山薫の胸元に顔を埋めた。 「あんたって、本当にズルい。何で、そうやって俺を骨抜きにするような事ばっか言うんだよ……もう、あんた無しじゃ生きてけねーじゃん……」 涙声になりながら言う俺に、月山薫は乱暴にクシャクシャと頭を撫でる。 「たりめえだ、バーカ。俺を全部くれっつったのは、何処のサルだよ。忘れてんじゃねえぞ」 「忘れる訳ないだろ…サルって言うな、くそピアニスト」 涙声が、月山薫の胸の中でこもる。 「俺だって……俺だってなぁ、世界で一番、あんたの事が好きなんだからな。今までだって…これからだって…ずっと、ずっとそうなんだからな。覚悟しろよ。絶対、離れてなんかやらないんだからな」 月山薫の胸に顔を埋めたままっていう、何とも情けない状態での告白。 けど、こいつみたいに、顔を真っ直ぐ見てなんて、恥ずかしすぎて出来ない。 ていうか、こんなグチャグチャな顔、見られたくない。
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