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8ターン目 ゾンビはこちらじっと見ている。仲間にしますか?
戦闘はあっという間に終わってしまった。というか、ゾンビが弱すぎた。
「やべっ!仲間がいたのか!おい、お前ら出てこいよっ!」
焦ったゾンビの兄ちゃんが叫ぶと、薄暗い中から2人若い男が出てきた。3対2。こちらが不利な戦況になってきた。まだ隣にゾンビもいる状況。何なら、肩に手を回されている格好なわけで、人質扱いされている。ってか、ゾンビなのによく喋るな。腐ってんの?本当に。
「こっちには人質もいる。無駄な抵抗はしないで大人しくしていろ!」
「あ”?てめぇ、ゾンビになっても死にたいのか?縄で縛って朝日で燃やすぞ?」
こえぇ。堅気じゃないよ、この人。殺し方がエグイよ。人で言う、火炙り的なこと言ってるし。あの人が人で、隣で震えてる兄ちゃんがゾンビだよな?合ってるよな?
「俺が3つ数えるまでに解放しなかったら、実力行使する。ちなみにそいつは俺が雇ったガキだ。人質にはならん。はい、いーーーーちっ、にーーーー」
気ぃ短いよ、あの人。だんだん、震えてる兄ちゃんが不憫に思えてきた。
「待った!開放するから見逃してくれ!俺たち、昨日ゾンビになったばかりで、人を殺したこともない。本当だ。ほらっ坊主行けっ!」
背中を押されて、キールのおっさんのほうへ逃げれた。これ、本当にゾンビなのか?今、昨日なったばかりって言ってたし、そんなもんか。
「ほう、昨日なったばかりだと?詳しく聞こうじゃないか。有益な情報であれば、見逃してやってもいい」
「本当ですか?ありがとうございます。ありがとうございます。ほらっお前たちも頭下げろ」
震えた手で後頭部を掴まれて頭を下げさせられる仲間のゾンビ2体。どっちが悪モンなのかが分からなくなってきた。でもなんでこんなにゾンビが弱いんだ?呪文も武器も使ってこない。
「俺たち、今みたいに繁華街から外れた場所へ連れてかれて殺されました。昨日殺されて、そのままゾンビに。なりたてで呪文もなにも使えないんです。ただの人間と変わらないのが売りなだけで、動く死体です」
「質問をしていく。正直に答えろよ。俺の質問以外のことを話したら、死んでもらう」
ハイっ!!
三人の新米ゾンビの兄ちゃんたちは元気よく答えている。こんな元気のいいゾンビ初めて見たわ。繁華街の酒場で働いたほうが似合ってそうだ。
キールのおっさんも、この従順そうなゾンビの反応に満足したのか、腕を組んで質問を続ける。
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